私はよく近所の飼い猫を可愛がっています。
その猫は外をよく散歩していて、私の家の敷地内にも遊びに来ます。
会うたびよく撫でたり一緒のペースで歩いたりするのですが、最初からそこまで仲が良かったというわけではありません。
私とその猫の仲良くなる決定的な出来事があり、それは「祖父の死」でした。

仲良くなる直前までは「写真」の関係

私とその猫(以下、S(猫の名前のイニシャルです))はカメラ越しの間柄でした。
もともと私は猫が苦手だったのです。見る分には大好きですが、実際に触るのができませんでした。
引っかかれないか怖くて、自分から撫でたりするようになったのは仲良くなってからでした。

そんな猫が苦手な私の家のガレージに度々足を運び、仰向けに横たわったりしてごろ寝をして過ごしているのがSでした。
見る分には好きなので、よくSの姿を写真に収めては家に帰る日々が続きました。

Sは写真を撮るだけの私に近寄ることもなく、逃げることもなくただゴロゴロしたりリラックスして過ごしていました。

向こうは私が猫が苦手だというのに気づいていたのかもしれません。
その割には猫相手に手を振ったり、朝は「おはよう」と話しかけたりしていたので少なくとも嫌われてはいないという認識をしていたのでしょう。

猫は「死」を理解できる?

 

今から何年か前の夏、私を可愛がってくれていた祖父が老衰で亡くなりました。
自宅にたくさんの身内が来て、悲しみに暮れる中リビングに棺が置かれて家族でお葬式の準備をしていました。

リビングの棺に目をやっていた私ですが、その向こうには窓がありさらにその窓越しにはSがいました。
Sは喪服の身内たちやその棺をまじまじと見ていて不思議そうにしていたのを覚えています。

翌日のSの行動でSに初めて触れた

 

お葬式の翌日、憔悴した私は頭がぼーっとしていました。
身近な人の死を体験したのは初めてだったので、かなり落ち込んでいました。

暗い気持のまま洗濯物を抱えて外に干しに行き、雨が降っていたのでガレージに干すことにしました。

ガレージにはSが待ち構えるようにして座っていました。
私とSは目が合いましたが写真を撮る元気もなくこちらから目を逸らしました。

洗濯ものを干し終わり、Sの前になんとなく座ってみたらSが立ち上がり私に初めて触れてきました。
それまでは、自分からすり寄ったりなんてしたことがなかったのにです。

葬儀の翌日ですから、猫なりに心中を察してくれたのでしょうか。
私の両ひざにSが後頭部を摺り寄せてから何かを拭うようにして何度も私のふくらはぎに体をこすりつけました。
顔をまじまじと見てきたあとに「にゃー」と一言鳴きました。
何て言っているか全然わからないものの、ですが心配されていることや慰められていることは分かりました。

私が不慣れな手でSの頭や背中を撫でると、その日はSは小雨を浴びながら静かに歩いて去っていきました。
それが、私がSに初めて触れた日でした。

今のSはかなり甘えてくる

それからSが網に爪を引っかけたら取ってあげたり、会うたび頭を撫でるようにしていたら
私に会うとにお腹を見せてくるようになり移動するとついてきて足にくっついてきたりと触れ合うことが増えました。
もともと飼い主さんから甘えん坊の猫だとは聞いていて、褒めながら撫でてあげると喉をごろごろ言わせながら目を閉じているので癒されています。

最近は、私の姿を見かけると走って寄ってくることもあります。
あまりにも可愛いのでこちらもたくさん撫でてあげています。

一度、好意の現れなのかSからプレゼントとしてセミを受け取ったこともありました。

猫と仲良くなれたのは、葬式の一件からでしたが
まさか猫とここまで仲良くなれるとは思っていませんでした。

あのときのことはまだ忘れていませんが、Sは人の死が理解できていたのでしょうか?

真偽はつきませんが私はSが私の悲しそうな感情を読み取って、
慰めようとしてくれたのではないかと思っています。